自意識朦朧

Simple Lifeを妄想するライフログ

【書評】東京の夫婦:松尾スズキ

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50歳は誰でもただのおっさん

松尾スズキ。劇団『大人計画』主宰。演出家で戯曲作家、役者で監督で小説は芥川賞候補。

推して知るべしの才能の塊、とんがった感性の持ち主という印象ですが、50歳ともなると皆感じることは同じなんだな、おっさんなんだなと思うそんな風情のエッセイ集です。

エッセイが好きなんです

どんな作家にも限らず、普段のガチガチ戦闘体勢の文体から一転してグッダグダに脱力した文体になるエッセイ集が好きです。

肩肘はらず自然体。よる年波にも勝てず、やれ身体が痛いだの、隣近所の出来事(大半愚痴)、時代の流れの速さへの呪詛などなどなど、思うところが同じなだけ共感しつつも、そのウィットにとんだ語り口が心地よい。

ショートショートな展開なので、スキマ時間にちょっとずつ読めるってのも好きな理由。

 

松尾スズキ51歳、再婚

松尾スズキ氏のエッセイ集は結構前からチョイチョイ読んでました。寝言サイズの断末魔とか…

当時のものは演劇仕事バリバリで内容も仕事寄りのものばっかりだった印象。

元奥さんがファンキーなキャラクターでよくネタにされてましたね。

文章もボヤキに恨みつらみと思うがままにシャウトしてました。

 

それから10年以上の月日が流れ、51歳にして30も年下の女性と再婚。

重ねた月日のせいか、中年男性の哀愁か、当時と比べてとても穏やかな印象を受けました。

今の奥さんが普通免許を持った普通の常識人で頼りがいのある人っぽいので、頼ったり頼られたり、とてもいい関係のようですね。

とはいっても日和ったという感じもなくて、姉との確執や母親の介護、複雑な家庭事情もせきららにあっさり吐露してたりとロックです。

 

なんだか大人計画のファンになって、あの熱量と共に歩んできた人にとってちょっと一休みみたいな、ホッとする内容の本でした。